69歳で亡くなられました。
Yahooトピックスに書いてあったのですが、それを読んで
「え〜っ!!!」
と声を出したのは、初めてでした。
米長さんのことは、以前のブログにもよく書いていたと思いますが
僕の勝負における考えに、多大な影響を与えてくれた恩人です。
タイトルに興味を持ち、何気なく本屋で購入した同氏の著書
「人間における勝負の研究」には、勝負師としての心構えが
非常にシンプルかつ鋭い考察で記されており、感心と感動を覚え
ながら一気に読破して、そして何度も読み返したとても印象深い
名著でした。
「弱いから負ける。ただそれだけだ。言い訳などしてはならない」
「強い人は威張らない。威張る必要がないから。実力がないから
自分を実力以上に大きく見せようとして威張る。威張るのは
実力がないからだ」
「実力があるならば、一時期結果が出なくても、最終的には実力
通りの結果に落ち着くはずだ。焦らず騒がず、淡々と実力の向上
に努めるべきだ」
などなど、読んだ当時は、小人物(今でも・・・)の僕には
耳の痛い、しかし目からうろこが落ちる言葉ばかりでした。
この本を読んでから、米長さんのファンになり、その著書は
ほぼ全部読破(立ち読み含む)していると思います。
新宿駅の構内で、偶然米長さんを見かけ、その時たまたま米長
さんの著書を持っていたので、勇気を持って声を掛けて、本に
サインしてもらって、握手までして頂いたのは、ラッキーでした。
その本が古本屋で買ったものだったのが、申し訳なかったですが。
これです。
米長さんには、同世代に強力なライバルが居ました。
中原誠16世名人です。
米長さんは、タイトルはたくさん獲得してきた名棋士でしたが
唯一、手が届かなかったのが、名人のタイトルでした。
6度挑戦して全て負け。しかしそれにもめげることなく、7度目の
挑戦で念願の名人位を中原名人から4-0のストレートで奪取!
御年49歳11ヶ月。つまりほとんど50歳という史上最年長名人に
輝いたのです。
米長さんは、修行時代に長手数の難解な詰将棋で鍛えた、終盤の
独創的・幻想的なねじりあいに強かったのですが、その反面
序盤は雑だったそうです。
そのため、序盤でリードを許し、それでも終盤の怪しい手順で
逆転勝ちも多かったのですが、中原名人にはそれが通用せず
どうしても名人位には届かなかったのでした。
しかし、49歳の大御所でありながら、名人を獲るために、序盤に
優れる若手に教えを請い、自分の息子くらいの年齢の若手棋士を
「先生」と呼び、真摯に序盤の研究を重ねた結果、苦手・強敵・
天敵!?でもある中原名人を、圧倒的な大差で下すことができた
のです。
69歳という年齢はあまりにも若すぎますが、米長さんは非常に
内容の濃い人生を歩まれてこられたので、悔いのない素晴らしい
一生だったんじゃないかと僕は勝手に思っています。
僕は現在47歳。米長さんが名人を獲った年齢より若いです!
無論、種目も実力も全然違いますが、そのスピリットは大いに
参考にさせて頂いて、これからも常に学ぶ姿勢を忘れず、そして
諦めずに、大きな目標に向かって頑張っていきたいと思います。
米長先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。